Nature ハイライト

医学:黒色腫の治療薬として期待される標的型抗がん剤

Nature 467, 7315

プレキシコン社とロシュ社が開発した低分子阻害剤PLX4032(www.nature.com/news/2010/100907/full/467140b.html参照)は、複数のヒトがんに共通している変異型B-RAFプロテインキナーゼ(B-RAFV600E)を選択的に標的とする。G Bollagたちは、このB-Raf変異をもつ黒色腫患者を対象とした早期臨床試験で、PLX4032が有望な成果を挙げたことを報告している。また彼らは、PLX4032の構造と機能についても明らかにし、第I相臨床試験のトランスレーショナル研究データから、臨床で効果を発揮するには、B-Raf下流のERK経路を相当度阻害するのに十分な薬剤濃度が必要であることも示している。この研究は、腫瘍形成の原因となる生物学的機序に基づく早期臨床試験の設計が、抗がん剤が臨床で使えるようになるまでの過程を迅速化する大きな力をもっていることを実証している。

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