Nature ハイライト

医学:記憶障害の一要因であるEphB2

Nature 469, 7328

EphB2受容体がアルツハイマー病にかかわることは、関連解析により以前から示されている。この受容体は、さまざまな生物学的機能を調節するチロシンキナーゼ型受容体の大きなファミリーの1つに属しており、アルツハイマー病でのその役割はまだ解明されていない。今回Cisséたちは、アミロイドβオリゴマーがEphB2と相互作用して、その分解を引き起こすことを明らかにしている。EphB2はNMDA型グルタミン酸受容体を調節していて、正常マウスでEphB2が大幅に減少するとNMDAR電流が弱まり、長期増強が障害される。NMDAR電流と長期増強は共に記憶形成に重要である。アルツハイマー病のマウスモデルの1つでEphB2レベルを高めると記憶が改善されることから、アルツハイマー病ではEphB2の濃度あるいは機能の増強が治療に有効となるかもしれない。

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