Nature ハイライト

Cover Story:受精能力を作り出す:女性ホルモンのプロゲステロンは受胎の際に、精子の尾にあるイオンチャネルに作用する

Nature 471, 7338

卵巣および胎盤で産生される女性ステロイドホルモンのプロゲステロンは、性質が十分に解明されている核内プロゲステロン受容体に対する作用を介して妊娠と胚形成を維持している。しかし、卵を取り囲む細胞から遊離されるプロゲステロンもファロピウス管中で精子細胞を刺激し、その授精能を増強するが、プロゲステロンのこちらの作用の機序はよくわかっていない。今回2つの研究グループが別々に、プロゲステロンが精子鞭毛の主要なCa2+チャネルであるCatSperを強力に活性化することを報告する。彼らのデータによると、CatSperチャネルあるいはCatSperチャネルと直接結合する膜タンパク質が新たなプロゲステロン受容体として機能し、精子細胞膜レベルでのプロゲステロンの迅速な非ゲノム作用を仲介しているらしい。この結果は、精子におけるプロゲステロンとCatSperの生理的役割を明らかにし、新たなタイプの非ホルモン性の避妊薬の開発につながるかもしれない(Letters pp.382, 387, N&V p.313)。

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