Nature ハイライト

構造生物学:K+イオンに対する新規な選択機構

Nature 471, 7338

生細胞はどれもカリウムイオンを蓄積しており、高い細胞内カリウム濃度は多くの生理過程に必須である。細菌や酵母、植物では、カリウムイオンの取り込みは、SKTタンパク質という輸送体スーパーファミリーにより行われる。SKTタンパク質は、単純なカリウムチャネルから進化したと考えられているが、カリウムイオン選択性と輸送の機構はわかっていない。細菌のSKTタンパク質、つまり腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)由来のTrkHカリウム輸送体の結晶構造が今回決定された。その選択フィルターは、カリウムイオンチャネルのそれと似ているが、もっと短い。生化学的研究から、K+選択性が、Na+やLi+のような小型のイオンを排斥し、より大きなK+やRb+を選ぶ、新規の開閉機構に依存していることが示唆された。

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