Nature ハイライト 生理:カバのスキンケアの秘密 2004年5月27日 Nature 429, 6990 カバ(Hippopotamus amphibius)の上手なスキンケアは有名である。泥パックだけでもお肌のお手入れにはなるが、カバにはもう1つ、これまで秘密に包まれていた美容法がある。ただしこれが次の流行になるのかどうかは、まだ何ともいえない。カバは汗のような液を体表から分泌し、これが赤色に、そして次に茶色に変わる。橋本貴美子たちは今回、この色の変化のもととなっている2種類の色素(オレンジ色と赤色)を単離した。著者たちが調べたところ、2種類の色素は日焼け止め剤として働き、赤い色素には抗生剤の働きもあることがわかった。ではカバが体表の分泌腺から出す液は、今年の夏のビーチで最先端の日焼け止め剤となるだろうか? ところがこれらの色素は単離するととても不安定で、色素の色を保つには、カバの分泌液の中にある正体不明の因子が必要である。となれば、カバの汗と分泌液入り特製日焼け止め剤(抗生剤も入っています!)を欲しがる人がいるかどうか、やっぱり答えはノーだろう。 2004年5月27日号の Nature ハイライト 遺伝:ヒトゲノミクスにチンパンジーも特別参加 生化学:細菌の遺伝毒素の構造 地球:太古の地球が冷えなかった理由 海洋:毒を使った珪藻の謀略 地球:深部溶融体の上昇 生理:カバのスキンケアの秘密 目次へ戻る