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遺伝:ヒトゲノミクスにチンパンジーも特別参加

Nature 429, 6990

チンパンジーの染色体1本の完全塩基配列、ヒトの染色体2本の完全塩基配列、さらにヒトゲノミクスの特集記事と、今週はゲノミクスの話題が盛り沢山だ。 ヒトと、その最も近い現生の親戚であるチンパンジー(Pan troglodytes)とは、身体的にも行動面でも大きな違いがあるが、この違い のもとになる遺伝的相違はごくわずかだという話はよく聞かれる。しかし、これを系統立てて調べた研究はこれまでなかった。藤山秋佐夫たち国際チンパンジー22番染色体解読コンソーシアムが、チンパンジーの22番染色体の塩基配列を高精度で解読した。この全塩基配列を、対応するヒト21番染色体のものと比較することにより、22番染色体の1.44%に1塩基置換が見られ、68,000ヶ所に近い挿入/欠失部位を含むことが明らかになった。この程度の違いがあれば、ほとんどのタンパク質に違いを生じさせるのに十分である。実際、機能的に重要な遺伝子を含む 231のタンパクコード配列のうち83%にアミノ酸配列レベルの違いがあることがわかった。明らかに、ヒトとチンパンジーのゲノムの違いは、従来考えられていたよりもはるかに複雑である。 ヒトゲノムについては、S J Humphrayたちがヒト9番染色体の高精度の塩基配列を報告している。この染色体には性転換をはじめ、癌、神経変性疾患などに関係する遺伝子が含まれている。また、P Deloukasたちはヒト10番染色体について報告している。Analysisでは、J Schmutzたちがヒトゲノムで標準的基準となっている配列の精度評価の概要を述べている。 これらに加え、インサイト特集ではヒトのゲノミクスと医学について取りあげる。

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