Nature ハイライト

細胞:転写の詳細を観察

Nature 469, 7330

転写、すなわち細胞が持つDNAの塩基配列を鋳型として相補的RNAを作る過程は、ほんの数年前に考えられていたよりもっと複雑なことが明らかになってきている。例えば、RNAポリメラーゼの停止はよくあることで、さまざまな調節過程が起こる中心となるし、多くの転写産物はもともとすぐに分解される運命にある。これらの現象を調べるためにL S ChurchmanとJ S Weissmanは、転写をヌクレオチド1個レベルの分解能で定量できる、NET-seq(native elongating transcript sequencing)という方法を開発した。NET-seqは、RNAポリメラーゼIIに結合した状態の新生転写産物を生きた細胞から直接捕らえて塩基配列を決定する方法である。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)でこの新手法を用いることにより、ポリメラーゼの停止や後退、転写の方向性についての知見が得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度