Nature ハイライト

医学:音で耳鳴りを治す

Nature 470, 7332

神経可塑性、つまりヒトの脳が経験の結果として変化していく過程は、耳鳴りなどのいくつかの慢性的な神経学的異常の原因だと言われている。Engineerたちは、ノイズ誘発性の耳鳴りの齧歯類モデルを使って、耳鳴りによって引き起こされた神経可塑性を元に戻してやると、知覚異常が矯正できることを見いだした。音刺激と迷走神経の短い刺激を繰り返し組み合わせて与えると、聴覚ニューロンの同調特性が鋭敏化し、耳鳴りの生理的・行動的徴候が消失した。この原理証明実験により、病的に変化してしまった回路を正常な神経活動状態に戻してやれば、異常な神経可塑性などの状況を改善できる可能性があることが示された。

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