Nature ハイライト 化学:多角化する不斉触媒 2011年2月10日 Nature 470, 7333 キラルブレンステッド酸が触媒する求核付加反応に関するこれまでの研究は、イミンやアジリジン、カルボニルなどの分極したヘテロ原子を含む官能基に限定されていた。この限界は、オレフィンへの酸触媒による「マルコウニコフ」付加が1世紀以上前から知られているにもかかわらず、まだ越えられていない。今回、ジエンとアレンの分子内ヒドロアミノ化とヒドロアリール化をキラルジチオリン酸が触媒して、複素環式生成物を非常に優れた収率とエナンチオマー過剰率で生成できることが示された。この反応の機構について、酸触媒がジエンに付加して、その結果生成されたジチオリン酸塩中間体のSN2′置換が起こるという仮説が出されている。提案されたこの機構は、質量分析法と重水素標識法による研究で裏付けられている。 2011年2月10日号の Nature ハイライト がん:前立腺がんに見られる遺伝的変異 脳:攻撃行動と交尾行動はリンクしている? 構造生物学:多サブユニット複合体の解明を進める 宇宙:初期の銀河団のようす 化学:多角化する不斉触媒 気候:南極の気候への影響の変化 系統分類:無腸類は単純な生き方を選んだ 発生:発生中の網膜に指示を出す分子 目次へ戻る