Nature ハイライト
考古:人類進化の背景を彩った森林とサバンナ
Nature 476, 7358
現生人類と現生チンパンジーの最終共通祖先は木の生い茂る環境に生息し、800万〜500万年ほど前に分岐した後、人類の暮らす場所は木の少ない環境に移ったというのが現在の一般的な見方である。その次に我々の祖先に何が起こったのかはよくわかっていないが、二足歩行および食生活の変化は、開けたサバンナ草地への移動を反映したものだと考えられている。今回T Cerlingたちは、現代の熱帯生態系における木本植物の被覆率は定量可能であり、その定量法が地質学的に古い時代にまで拡張可能であることを実証している。アルディピテクスなどの初期人類と関係する多くの遺跡について、採取した化石土壌の分析から、一般に予想されていたような密生した森林ではなく、木本被覆率が40%未満のサバンナに似た環境であったことがわかった。さらに、人類がもっと完全に二足歩行をするようになった後、居住環境は疎林ではなく密生林になった。
2011年8月4日号の Nature ハイライト
気候:その他の温室効果ガス
考古:人類進化の背景を彩った森林とサバンナ
発生:腸のねじれの論理性
宇宙:月の表と裏が異なる理由
物性:超伝導体におけるスピン揺らぎ散乱
物理:解読されたデコヒーレンス
海洋:海の酸性化に対する植物プランクトンの反応
視覚:第三の網膜光受容細胞はさらに細分される
発生:DMRT1の欠失は性転換のきっかけ