Nature ハイライト
地球:月の核を攪拌する
Nature 479, 7372
最近の古磁気研究と地震学的研究によって、月にはかつて核ダイナモが存在したとする考えに対する強力な裏付けが得られつつある。月のダイナモがどのように駆動されるかは、月の進化を絞り込むうえで重要であるにもかかわらず、今のところ意見の一致を見ていない。別々に研究を行っていた2つのグループがどちらも、月のダイナモは流体核の力学的攪拌により動力を得ていたという考えに到達している。Dwyerたちは、固体ケイ酸塩マントルとその下の流体核との間の差動運動から生じた連続的な力学的攪拌により駆動されるダイナモの機構について調べた。彼らは、ダイナモを連続して10億年以上駆動するために必要な流体運動とエネルギーは力学的攪拌により容易に得られることを示している。Le Barsたちは、月の自転速度が衝突によって変化したことでダイナモ作用がもたらされたとするモデルを提案している。彼らは、盆地ができるような衝突のエネルギーは、月の同期自転を解放するのに十分なほど大きく、それに続いて生じた核–マントル境界の潮汐変形により励起される核内の大規模な流体運動が月のダイナモに動力を供給した可能性を示している。
2011年11月10日号の Nature ハイライト
細胞:乳腺の幹細胞
生化学:紅藻型Rubiscoを活性化する
物理:解明された蛍光の明滅機構
地球:月の核を攪拌する
進化:持ちつ持たれつの社会が生まれるまで…
医用工学:触って感じる義肢
生理:細胞老化が加齢に果たす役割
細胞:Mre11とExo1によるDNA鎖切断部位の除去
生化学:酸素耐性ヒドロゲナーゼ