Nature ハイライト
Cover Story:ナノスケールでのドライブ:分子サイズの四輪車のテスト走行
Nature 479, 7372
将来、ナノスケールで作動する人工輸送装置やロボットを作り出すには、表面上での方向性のある並進運動が可能な分子が必要だろう。そのような分子は、設計するだけでも相当な難問である。それは、こうした分子は、光エネルギーや化学エネルギー、あるいは電気エネルギーを使って、方向性を持った動きを生じるように表面との相互作用を調節できなければならないからだ。今回、Kudernacたちが、まさにこのような分子について報告している。これは中心軸に4個の回転モーターユニットを取り付けることで作られていて、非弾性電子トンネリングが回転子のコンホメーション変化を引き起こし、それによってこの分子が銅表面上を進んでいく。個々のモーターユニットの回転運動の方向を変えることで、この自走式分子「4輪車」構造体は、ランダムな軌道に従って、あるいは選択された線型軌道に従って移動する。この設計は、より巧妙な分子機械系探索の出発点となり、運動方向はおそらく完全に制御可能となるだろう。(Letter p.208, N&V p.187)
2011年11月10日号の Nature ハイライト
細胞:乳腺の幹細胞
生化学:紅藻型Rubiscoを活性化する
物理:解明された蛍光の明滅機構
地球:月の核を攪拌する
進化:持ちつ持たれつの社会が生まれるまで…
医用工学:触って感じる義肢
生理:細胞老化が加齢に果たす役割
細胞:Mre11とExo1によるDNA鎖切断部位の除去
生化学:酸素耐性ヒドロゲナーゼ