Nature ハイライト

地球:北極海の新しい見方

Nature 481, 7379

北極海の淡水分布の変化は、全球熱交換への影響を通して気候に大きな影響を及ぼしている。しかし、この変化を測定し理解することはこれまで困難だった。最近の人工衛星観測とin situ観測の進歩によって、北極海の淡水量の変化を監視し、最近の塩分変化制御の基盤となる機構を分析することが可能になっている。これまでの研究では、ボーフォート循環の加速が淡水化を制御していることが示唆されていた。今回J Morisonたちは、北極海全域の淡水変化の分布図を堤示し、ロシアの流出水の経路が2005〜08年に変化していることを示している。カナダ海盆は大きく淡水化され、ユーラシア海盆は塩分濃度が高くなり、正味の淡水化全体は流出水の40%に等しいことがわかった。これは、北極振動の強化によって生じたユーラシア海盆の低気圧性循環が原因であり、その結果、北半球の偏西風が強化されている。

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