Nature ハイライト

進化:脊椎動物の脳の進化的起源

Nature 483, 7389

ギボシムシの成体。右下が吻(前端部)で左上が尾。
ギボシムシの成体。右下が吻(前端部)で左上が尾。 | 拡大する

Credit : Ariel Pani

脊椎動物の脳は複雑な構造をしており、こうした脳がもっと単純な神経系からどのように進化したのかはよくわかっていない。脊椎動物に最も近縁な無脊椎動物であるホヤやナメクジウオなどの脳は、はるかに単純な構造であるため、脊椎動物の脳は脊椎動物で独自の進化を遂げてきたと広く考えられてきた。しかし、C Loweたちの新たな研究から、ギボシムシの前端部を指定する遺伝的プログラムが、脊椎動物のものと非常によく似ていることが示された。半索動物であるギボシムシは系統分類的に脊椎動物とかなり離れており、むしろヒトデなどの棘皮動物に近縁である。この結果は、脊椎動物の脳を指定する遺伝的プログラムが、動物体前端部の発生のためにより汎用化した一連の指令群として始まったことを意味している。これに関与する諸経路はナメクジウオやホヤでは失われているか、もしくは著しく変化しているため、当初のような解釈の混乱が生じたのだろう。

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