Nature ハイライト

生化学:起こりにくい環化反応を酵素が起こす仕組み

Nature 483, 7389

天然ポリエーテル化合物は、自然界に見られる化学構造の中でも最も複雑なものに属し、その中には、抗がん活性、抗生物質活性、神経保護作用を持つものもある。ポリエーテル合成に必要なエネルギー的に起こりにくい環化反応を、天然酵素がどのように行うのか、正確な仕組みはまだわかっていなかった。だが今回、C Kimたちが、ビスエポキシプレラサロシドAのエポキシド開環による環化反応によってラサロシドAを形成する、土壌細菌由来のエポキシドヒドロラーゼの性質を明らかにした。この反応は、ジャック・ボールドウィンが1976年に提唱し、現在でも環化反応の設計指針として使われているボールドウィン則に反している。構造研究と計算による研究に基づいて、Kimたちはポリエーテル天然化合物の酵素触媒による合成の一般機構を提案している。

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