Nature ハイライト
生理:鳥が進路を決める仕組みを再考すべきとき
Nature 484, 7394
渡り鳥はどのようにして磁場を感知するのだろうか。これまでの研究では、上嘴にマグネタイト(磁鉄鉱)を含むニューロン樹状突起からなる磁気感知系があり、鳥が磁場を使って航路決定する能力はこれによっていると考えられてきた。しかし今回、広く受け入れられてきたこのモデルに疑問が投げかけられた。D Keaysたちが、カワラバト(Columbia livia)の嘴にある鉄を豊富に含む細胞について、解剖学的特徴を総合的に解析し、これらの細胞が実際はマクロファージであって磁気感受性ニューロンではないことを明らかにしたのである。鉄を多く含むマクロファージは鳥の嘴に特有なものではない。したがって、鳥類の磁気感知の神経基盤は依然としてはっきりしないままである。磁気感知部位の候補の1つとして考えられるのは嗅上皮で、この感覚構造はニジマスで磁気感知にかかわっている。
2012年4月19日号の Nature ハイライト
構造生物学:ダイニンの駆動力
宇宙:通説に冷水を浴びせるアイスキューブ
物理:実験で明らかになったコヒーレント量子位相スリップ
地球:雨の痕跡で昔の大気を調べる
生理:鳥が進路を決める仕組みを再考すべきとき
生理:自然条件下での生体リズム
発生:大脳皮質でのアストロサイトの産生
脳:記憶の神経表現
医学:筋ジストロフィーにおけるHsp72