Nature ハイライト
遺伝:アンチセンス長鎖非コードRNAが遺伝子発現を調節する
Nature 491, 7424
ゲノムから転写されるRNAの多くは、まだその機能がわかっていない。そうした長鎖非コードRNA(lncRNA)の1つに、Uchl1(ubiquitin carboxy-terminal hydrolase L1)遺伝子に対するアンチセンス転写産物がある。Uchl1は脳機能にかかわり、神経変性と関係付けられている遺伝子である。今回、アンチセンスUchl1 lncRNAが、Uchl1遺伝子内のSINEB2(short interspersed nuclear element B2)という配列を認識することが明らかになった。アンチセンスUchl1とSINEB2の相互作用は、UCHL1の発現を翻訳段階で上昇させた。反復配列が組み込まれた天然あるいは合成のアンチセンス転写産物は、メッセンジャーRNAの選択的翻訳を増加させる有用な手段になる可能性があり、RNA療法にも使えるかもしれない。
2012年11月15日号の Nature ハイライト
医学:膵臓がんで見つかった新たな変異
医学:HIV/エイズワクチンの標的
宇宙:「ホットジュピター」型系外惑星の軌道崩壊
量子情報科学:ドットの上の量子スピン
材料:自己駆動型アクティブマター
気候:全球の干ばつの変化傾向に関する新しい描像
進化:鳥類が現在のように多様化するまでの経緯
遺伝:アンチセンス長鎖非コードRNAが遺伝子発現を調節する
細胞:セリン生合成と解糖の結びつき
医学:T細胞ワクチンの増強法
細胞:血管での一酸化窒素シグナル伝達