Nature ハイライト
材料:自己駆動型アクティブマター
Nature 491, 7424
自律運動は生物の特徴である。細胞やその構成要素は、エネルギーを消費することによって、外部から力を加えなくても運動を生み出せる。今回、構成要素として生体分子を用いて、似たような振る舞いをするポリマーゲル、液晶、エマルションを作製したことが報告されている。この方法では、まず微小管を集合させて階層的な束状構造を作らせてから、浸透ネットワークを形成させる。化学エネルギー源としてのATPと分子モータータンパク質キネシンの存在下で、流体力学的不安定性を作り出し、流体輸送を促進してやると、時間的・空間的カオス流が生成された。微小管ネットワークは、エマルション滴表面に閉じ込められると二次元能動液晶を形成し、これがエマルション滴に自律運動性を与える。この研究から、この種のカオス的挙動を人工的に調節・制御するという興味深い可能性が考えられる。
2012年11月15日号の Nature ハイライト
医学:膵臓がんで見つかった新たな変異
医学:HIV/エイズワクチンの標的
宇宙:「ホットジュピター」型系外惑星の軌道崩壊
量子情報科学:ドットの上の量子スピン
材料:自己駆動型アクティブマター
気候:全球の干ばつの変化傾向に関する新しい描像
進化:鳥類が現在のように多様化するまでの経緯
遺伝:アンチセンス長鎖非コードRNAが遺伝子発現を調節する
細胞:セリン生合成と解糖の結びつき
医学:T細胞ワクチンの増強法
細胞:血管での一酸化窒素シグナル伝達