Nature ハイライト
遺伝:コムギとオオムギのゲノムを解析
Nature 491, 7426
今週号では2つの研究グループが、主要な穀類であるパンコムギとオオムギのゲノム塩基配列を組み立てて解析し、将来の作物改良に重要となる情報資源を提供している。パンコムギは、人類が消費するカロリーの5分の1を占めている。そのゲノムは17 Gbと非常に大きく、複雑な六倍体である。M Bevanのグループは、454パイロシークエンス法を用いてパンコムギのゲノムを解析し、その結果を祖先種や原種の二倍体ゲノムと比較した。その結果、倍数化と栽培化の過程における遺伝子ファミリーメンバーの著しい喪失、また作物の生産性と関連すると思われる遺伝子クラスの拡大が見いだされた。オオムギは、最も古くから栽培されてきた作物の1つで、二倍体ながら5.1 Gbというかなり大きなゲノムを持つ。N Steinのグループは、高解像度の遺伝学的地図と対応付けた物理的地図を作成し、その地図上に、大規模全ゲノムショットガン塩基配列アセンブリ、cDNAおよびRNA塩基配列のデータを重ねて、オオムギゲノムに関する最初の詳細な全ゲノム解析結果を示している。
2012年11月29日号の Nature ハイライト
地球:海洋底玄武岩の起源
遺伝:コムギとオオムギのゲノムを解析
免疫:MAIT細胞の免疫監視機能
生化学:励起状態RNAの構造
宇宙:タイタン大気に見られる季節大変動
物理:超流動フェルミ気体の抵抗低下
材料:剛性と安定性の関係
生態:乾燥の脅威に直面する森林
再生医学:器官特異的に幹細胞を増やす
生化学:膜内のCXCR1の構造