Nature ハイライト

創薬:二重の作用を持つオピオイドを作る

Nature 506, 7487

オピオイド受容体は、鎮痛や意識、運動制御や気分などの多くの生理的過程に対する内因性および外因性オピオイドの作用を仲介する。今回、ヒトδ-オピオイド受容体の1.8 Å分解能でのX線結晶構造が報告され、このGタンパク質共役受容体のアロステリック制御に関わっていると考えられるナトリウムイオンの存在が明らかになった。部位特異的変異誘発と機能研究により、アロステリックなナトリウム部位の重要なアミノ酸をアラニンに変更する変異によって、アンタゴニストであるナルトリンドールが強力なβ-アレスチン選択性アゴニストへと変化することが示された。また、アロステリックな働きをするナトリウム結合ポケットは、サブタイプ選択的なδ-オピオイド受容体アゴニストやアンタゴニストの開発を促進する可能性があることも明らかになった。オルソステリックなリガンド、つまり内因性基質と同じ部位に結合するリガンドをそのポケットまで伸長することで、もっと望ましい薬理学的性質を持つ「バイトピック(膜を1回貫通する)」でオルソステリックあるいはアロステリックな働きをする化合物を生成できる可能性が出てきたのである。

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