Nature ハイライト
創薬:二重の作用を持つオピオイドを作る
Nature 506, 7487
オピオイド受容体は、鎮痛や意識、運動制御や気分などの多くの生理的過程に対する内因性および外因性オピオイドの作用を仲介する。今回、ヒトδ-オピオイド受容体の1.8 Å分解能でのX線結晶構造が報告され、このGタンパク質共役受容体のアロステリック制御に関わっていると考えられるナトリウムイオンの存在が明らかになった。部位特異的変異誘発と機能研究により、アロステリックなナトリウム部位の重要なアミノ酸をアラニンに変更する変異によって、アンタゴニストであるナルトリンドールが強力なβ-アレスチン選択性アゴニストへと変化することが示された。また、アロステリックな働きをするナトリウム結合ポケットは、サブタイプ選択的なδ-オピオイド受容体アゴニストやアンタゴニストの開発を促進する可能性があることも明らかになった。オルソステリックなリガンド、つまり内因性基質と同じ部位に結合するリガンドをそのポケットまで伸長することで、もっと望ましい薬理学的性質を持つ「バイトピック(膜を1回貫通する)」でオルソステリックあるいはアロステリックな働きをする化合物を生成できる可能性が出てきたのである。
2014年2月13日号の Nature ハイライト
神経科学:統合失調症の発症機序
創薬:二重の作用を持つオピオイドを作る
宇宙:宇宙再電離に対する見方が修正される
量子物理学:実用的な量子エラー訂正
材料科学:ソフトマターにおける準結晶形成
保全:海洋保護を実現するための5つの条件
生態学:「緑深い」アマゾンは光のいたずらだった
古代ゲノム学:古代ゲノムからアメリカ先住民の祖先が明らかに
神経科学:新生児脳損傷のEGFR治療
細胞:迅速かつ効率的なiPS細胞産生