Nature ハイライト

物理:チップ上で光をスイッチ

Nature 437, 7063

情報技術の分野では、電気だけでなく光も使ってデータを伝送し処理すること、すなわち、エレクトロニクスからオプトエレクトロニクスへの転換がますます求められている。問題は、超小型電子チップを作るための重要な素材であるシリコンでは、光をあまりうまく扱えないことだ。今回、もう1つの一般的な半導体であるゲルマニウムで、シリコンチップ上にオプトエレクトロニックデバイスを形成できることが示された。ゲルマニウムをベースにするKuoたちの「光スイッチ」は、シリコンをベースにする標準的なチップ技術で容易に集積化可能であり、小型で高速・低電力の光電子回路実現への道を拓くかもしれない。  現在、オプトエレクトロニックデバイスの多くは、ガリウムヒ素やインジウムリンなどエキゾチックな元素の合金、いわゆるIII-V族半導体から作られる。これらの材料はシリコンにうまく付着しないため、しばしば別々のチップ上にのせねばならず、製造工程が複雑になり、コンパクト性や頑健性を損なう。ゲルマニウムは、シリコン上でもっと容易に「成長」するが、光ベースの情報処理に有効であることはこれまで立証されていなかった。  Kuoたちが報告している「光変調器」は、光信号を効率的にオン/オフできるため、ちょうどパルス化した電気信号のように情報がコード化されて転送される。このデバイスは、純粋ゲルマニウムとゲルマニウム・シリコン混合物の非常に薄い層を交互に重ねたサンドイッチ状になっており、照射された光ビームを制御するのに量子効果を利用するので、量子井戸デバイスと呼ばれる。

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