Nature ハイライト
医学:鳥インフルエンザウイルスの進化史
Nature 508, 7495
A型インフルエンザウイルスなどのRNAウイルスは、ヒトの健康に対する脅威であり、その出現の背景にある要因は、いまだ完全に解明されていない。今回M Worobeyたちは、鳥インフルエンザウイルスの進化を追跡する新しい手法を示した。彼らの考案した「宿主特異的なローカル時計(host-specific local clock)モデル」では、さまざまな宿主系統ごとに、独立のウイルス分子進化速度を組み込んでいる。系統ゲノミクス解析によって、全ゲノム領域にわたる一貫した進化史が明らかになり、また、ウマH7N7系統が鳥由来株(およびヒト、ブタ由来株と、ウマH3N8系統)の姉妹分岐群であって、それらの株との共通祖先が19世紀に存在したことが分かった。結果として生じた西半球の鳥インフルエンザウイルス系統は後に、そのゲノム領域の大部分が1918年のパンデミックウイルスに寄与し、またそれとは独立に1963年にウマ間で大流行したH3N8系統にも寄与した。
2014年4月10日号の Nature ハイライト
神経科学:新しい全脳マッピング情報資源
がん:MTH1はRasに関連するがん治療標的である
構造生物学:細菌の集光性複合体の構造
宇宙:小惑星表面は熱サイクルによって形作られる
量子物理学:ゲートを通って量子ネットワークへ
地球:大陸成長の新しいモデル
遺伝:エピスタシスによるヒトゲノムの遺伝的差異
医学:鳥インフルエンザウイルスの進化史