Nature ハイライト

神経科学:シナプス小胞の迅速な再構築の機構

Nature 515, 7526

1970年代にシナプス小胞のリサイクルが明らかになって以来、シナプス小胞はクラスリンの細胞膜での働きによって、軸索末端の刺激から約20秒後に再生されると考えられてきた。E Jorgensenたちは、このような考え方の基盤となった当初の実験を、今回は光遺伝学的刺激と高圧冷凍とを組み合わせて、刺激後にサンプルを急速固定するというやり方で行った。これによって話は一変した。以前に考えられたような機構が働くのは、22°Cという非生理的な「室温」条件下で、この場合には超高速エンドサイトーシスは起こらない。一方、生理的温度(34°C)では、クラスリンとは無関係な超高速エンドサイトーシスによって、約50ミリ秒以内に細胞膜から大きな小胞が回収されることが分かった。この大型小胞は、次いで融合してエンドソームが形成され、刺激から約5秒後にはこのエンドソームから、クラスリン骨格の働きで小さなシナプス小胞が再生する。

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