Nature ハイライト
超伝導:チタン酸ストロンチウムは超電導を向上させる
Nature 515, 7526
バルクのセレン化鉄(FeSe)は、臨界温度(Tc)が8 Kの超伝導体である。しかし、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3またはSTO)基板上に成長させたFeSeの単一単位格子膜では超伝導特性が大幅に向上し、超伝導エネルギーギャップが液体窒素の沸点(77 K)に近い温度で開く。このことから、SrTiO3基板がこの超伝導特性の向上に寄与しているのではないかと考えられるようになった。今回Z Shenたちは、SrTiO3基板のボソンモード(酸素の光学フォノンと考えられる)とFeSe層の電子との結合によって高温超電導特性が向上することを、高分解能角度分解光電子分光(ARPES)測定により明らかにした。そうした結合はほとんどのチャネルで超伝導特性を向上させるため、今回報告された対形成促進は、FeSeだけでなく他の超伝導物質にも有効である可能性がある。
2014年11月13日号の Nature ハイライト
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神経科学:蚊がヒトの血を好むようになった経緯
神経科学:シナプス小胞の迅速な再構築の機構
天文学:古典的ないるか座新星2013の初期の観測
物性物理学:トポロジカルHaldaneモデルの実験室実証
超伝導:チタン酸ストロンチウムは超電導を向上させる
古生物学:謎の巨大恐竜の全体像が明らかに
生理:血流を感知するチャネル