デイノニコサウルス類は地球上にこれまで現れた中で最もどう猛な肉食動物群の1つである。またデイノニコサウルス類の大部分の化石は北米や東アジアの白亜紀層で見つかっているが、その仲間であるベロキラプトルは映画『ジュラシック・パーク』に登場して大いに名を知らしめた。今回アルゼンチンの白亜紀層で新しい種類のデイノニコサウルス類が見つかった。それについて今週号で報告したF E NovasとD Polによると、デイノニコサウルス類はこれまで想像されていたよりはるかに広範囲かつ長期間にわたって地球上を闊歩していたのだという。デイノニコサウルス類は、北米で出土したデイノニクス類に見られるように小型で軽快な体つきの肉食恐竜で、強力な歯を備え、足の第2指には特徴的な鎌状の鉤爪があり、大型恐竜の腹を裂くのに完璧な装備をしていた。今回の新しい南米産のNeuquenraptor argentinusについてはまだ情報が乏しいが、デイノニコサウルス類特有の鎌状の鉤爪がある。この新種のデイノニコサウルス類が生きていた当時は、大陸の南半分と北半分が分離してからかなりの時間がすでに経っており、大陸同士の位置関係は現在の状態に近くなっていた。それを踏まえて今回の研究成果を考えると、デイノニコサウルス類は何百万年かにわたって世界に広く分布していたに違いない。