Nature ハイライト

遺伝:腸に取り付く悪魔のゲノムを解読

Nature 433, 7028

重要なヒト病原体の1つである赤痢アメーバのゲノムが、病原性アメーバのものとしては初めて完全に解読された。腸内に寄生するこのアメーバが引き起こすアメーバ症は、発展途上国では感染症や死亡の一般的な原因である。 B Loftusたちが決定した塩基配列から、赤痢アメーバが酸素に依存した代謝経路を切り捨てて、腸内のような酸素の乏しい環境でも働ける酵素を用いていることが判明した。この点は、ヒトの体の奥深くに住みつく他の病原体、たとえばランブル鞭毛虫などに似ている。 他のゲノムとの比較から、赤痢アメーバはこれらの代謝関連遺伝子を、細菌からの遺伝子水平転移によって取り入れてきたらしいことがわかった。つまり将来これら両方を標的とする新たな薬剤ができるかもしれないということだ。また、赤痢アメーバの病原性遺伝子のレパートリーが非常に広いこともわかった。

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