Nature ハイライト

免疫:明かされたHIVの秘密

Nature 433, 7028

後天性免疫不全症候群(エイズ)は、ヒトではヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サルではサル免疫不全ウイルス(SIV)によって発症する。どちらのウイルスもgp120とよばれるタンパク質を発現するが、このgp120は、CD4とよばれる別のタンパク質を表面に発現する免疫細胞に結合する。gp120がCD4に結合すると、ウイルスは細胞に感染する。CD4に結合したgp120の構造は1998年に明らかにされたが、治療薬やワクチンの設計に重要な、CD4に結合していないgp120の構造は、何十年も決定できずにいた。 今回S Harrisonたちの優れた技術によって、SIV由来の非結合型gp120の構造が明らかになった。gp120の構造は、CD4結合型と非結合型とで劇的に異なることがわかった。 News and ViewsではP Kwongが、「Harrisonたちが詳しく解明した興味深い新たな知見は、HIVウイルスが宿主細胞に感染しながら、同時に免疫監視の目を逃れることができる仕組みを説明するのに役立つ。これで新たな戦略によるワクチン開発に望みが出てきた」と述べている。

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