Nature ハイライト

古気候:軌道のペースメーカー

Nature 434, 7032

過去270万年にわたって地球の気候を支配してきた氷期と間氷期のサイクルは、太陽の周りを回る地球軌道の変化によって引き起こされた。しかしおよそ100万年前、そのサイクルの長さは4万年間から10万年間へと変化している。P HuybersとC Wunschは、サイクルの長さの変化にもかかわらず、ただ1つの要素、すなわち軌道面に対する地軸の傾きが退氷のタイミングを決定してきたと論じている。 初期の4万年サイクルは地軸の傾きの変化と一致している。しかし、そのサイクルが10万年へと変化した理由は、長い間、謎のままだった。太陽を周回する地球軌道の離心率が10万年サイクルで変化することは解釈の1つとなりそうだが、この効果が気候に及ぼす影響はわずかしかないはずだ。今回、HuybersとWunschは統計的な解析と単純なモデルを組み合わせて、新たな説明を提案している。氷河期の終結の間隔が最近長くなったのは、4万年のサイクルがビートを1つか2つ欠いたものとして説明できることが示された。地球がゆっくりと冷却するにつれ、ビートのスキップが100万年前に起こり始めて氷床をより安定化させたと彼らは主張している。 近年の氷期サイクルに傾斜角が支配的だったという考えは、地球が過去何百万年にわたって受けてきた大幅な気候振動に対して、新鮮な視点を与えるものだ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度