エアロゾルは空中を浮遊する小さな粒子である。海面で形成されるエアロゾルは、地球の気候に大きな影響を及ぼすことが知られている。従来、海洋性エアロゾルの研究は主に、海塩中の硫酸塩粒子などの無機化学種を源とするエアロゾルの形成に注目してきた。硫酸塩が重視される理由は、これが日光の反射や雲の形成に重要な役割を果たし、海洋と気候を直接結びつけると考えられているからである。ところが近年の野外調査の結果、海洋性エアロゾルの源が無機化学種だけではないことが明らかにされている。今週号でM C Facchiniたちは、有機物が海洋性エアロゾルに大きく寄与し、正確な寄与量が季節によって変動することを報告している。例えば、エアロゾル量は春に多くなり、これは植物プランクトンの大量発生の時期と一致する。今回の研究から、海と空の気候上の結びつきに生物が大きく寄与することがわかった。