Nature ハイライト

医学:壊れた心臓を修理する

Nature 432, 7016

心筋細胞を守り、生存を助けると思われる分子が同定され、これを投与することで心臓発作による損傷の治療ができる見込みが出てきた。 心臓はふつう損傷しても自己修復できないが、ある程度は回復力があるのではないかとも考えられている。D Srivastavaたちは、発生中の胚の心臓でチモシンβ4と呼ばれるペプチドが活性をもち、細胞の移動と生存に重要な役割を果たしていることを明らかにした。さらにこのペプチドは、成体の培養心筋細胞の生存も助けることがわかった。 心臓発作後にチモシンβ4を投与したマウスでは、偽薬投与マウスに比べ、心臓組織の生存量が多く、心筋の収縮能力や血液の拍出能力も勝っていた。心臓発作後にこの分子を使えば、現在研究者たちが有望視している実験的治療、すなわち幹細胞を単離して心臓に導入する方法よりも優れた方法になる可能性がある。「この報告は、心不全の主要な原因の治療法に結びつく興味深い手がかりを与えてくれる」と、M SchneiderはNews and Viewsで述べている。

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