Nature ハイライト
遺伝学:タンパク質の状態をマッピングする
Nature 546, 7657
遺伝学的な変動を生じさせる手法は、ヒト細胞の調節ネットワーク研究に用いられているが、多くの細胞事象は、細胞の適応度や遺伝子発現のような従来の解析方法で検出される結果には影響しない。今回T Brummelkampたちは、ヒトの半数体細胞でのランダムな変異誘発に、多様な抗体によるタンパク質の定量的測定値を細胞の表現型に対応する読み出しとして組み合わせた研究を行った。彼らは、タンパク質のさまざまな状態に対する遺伝的調節因子を明らかにしたが、その中には、狭い範囲の表現型に影響を及ぼすものもあれば、広範な影響を及ぼすものもあった。AKTキナーゼのリン酸化状態を調節する遺伝子が見つかり、GPCRシグナル伝達とのつながりも明らかになった。この手法は、タンパク質に関連する表現型に基づいた包括的な遺伝的配線地図の作製に使えそうだ。
2017年6月8日号の Nature ハイライト
神経変性疾患:相転移が伸長したRNAを毒性化する
構造生物学:クラスB完全長GPCRの構造
物性物理学:平面世界の磁性
光物理学:光通信の大規模化
進化学:まれな移動個体が分岐選択を制限する
神経科学:一夫一妻制ハタネズミの社会的絆形成
がん:BCRシグナル伝達によってリンパ腫は競合で有利になる
遺伝学:タンパク質の状態をマッピングする