Nature ハイライト
Cover Story:化学の可能性:量子コンピューターは小分子の電子構造を解明できるようになった
Nature 549, 7671
量子化学は、量子コンピューターの最も有望な用途の1つである。しかし、これまでに量子ハードウエアによって実験的にシミュレートされたのは、最も小さな分子系だけである。今回、A KandalaとA Mezzacapoたちは、超伝導量子プロセッサーに実装された変分量子固有値ソルバーを用いて、より大きな分子系のシミュレーションを行ったことを報告している。今回の変分量子固有値ソルバーは、所与のアーキテクチャーに最適に実装されており、ハードウエア効率が高い。この方法によって、量子化学計算のLiHとBeH2への拡張が可能になり、さらには量子磁性の問題への適用も実証された。実行時の誤りは、補助的な数値シミュレーションによって解明されており、インコヒーレントな誤りの緩和が、興味深い分子系のシミュレーションを量子コンピューターで行うための重要な一歩となると、著者たちは考えている。
2017年9月14日号の Nature ハイライト
遺伝学:4Dヌクレオームプロジェクト
がん:脳腫瘍細胞の階層性
構造生物学:リポ多糖の輸送は「トラップ・アンド・フリップ」機構によっている
ナノスケール材料:磁性体による熱電性能の向上
気候科学:氷河の運命に立ちはだかる気候目標
進化学:ポリプテルス類の起源を紐解く
微生物学:栄養素欠乏状態での硝化
幹細胞:m6Aによる幹細胞の運命指定
構造生物学:ポリコーム様タンパク質の結合パワー