Nature ハイライト
構造生物学:リポ多糖の輸送は「トラップ・アンド・フリップ」機構によっている
Nature 549, 7671
膜二重層を横切る脂質の反転移動は、膜での脂質の非対称性を維持するのに重要だが、これは膜交通やシグナル伝達にも関わっている。この過程はフリッパーゼにより触媒されていて、細菌ではATP結合カセット輸送体がリポ多糖(LPS)を反転移動させる。LPSの輸送は細菌の生存にとって重要であるため、この輸送体は抗生物質開発の標的の1つでもある。今回M Liaoたちは、大腸菌(Escherichia coli)のフリッパーゼMsbAによるLPS認識の構造基盤を示し、LPSの移動経路を明らかにしている。脂質が細菌の膜を横切って移動する際の複数の状態の構造が低温顕微鏡法を使って捉えられ、その1つからMsbAの膜貫通ドメイン中にLPSに当たると考えられる電子密度が検出された。これらの知見から、LPSは輸送体の奥深くに入り込むことで、通常のフリップ・フロップを経ずに移動するという「トラップ・アンド・フリップ」機構が提案されている。
2017年9月14日号の Nature ハイライト
遺伝学:4Dヌクレオームプロジェクト
がん:脳腫瘍細胞の階層性
構造生物学:リポ多糖の輸送は「トラップ・アンド・フリップ」機構によっている
ナノスケール材料:磁性体による熱電性能の向上
気候科学:氷河の運命に立ちはだかる気候目標
進化学:ポリプテルス類の起源を紐解く
微生物学:栄養素欠乏状態での硝化
幹細胞:m6Aによる幹細胞の運命指定
構造生物学:ポリコーム様タンパク質の結合パワー