Nature ハイライト
フォトニクス:グラフェンにおける光電流の生成
Nature 550, 7675
最近、高強度電磁(光)場を使って電子を操作する超高速エレクトロニクスという新分野が登場した。金属においてそうした効果を調べることは、電荷キャリアによる遮蔽ゆえに困難であるため、この分野では主に絶縁体や半導体が研究されてきた。しかし、弱い遮蔽しか生じない二次元材料であるグラフェンには、異なる物理が当てはまる。今回、樋口卓也(ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルク)たちは、超高速光場を用いてグラフェン中に電流を生成した。この電流は、キャリアエンベロープ位相によってアト秒の時間スケールの精度で制御されたパルスの光キャリア場の正確な形状に敏感である。今回の結果は、光場駆動ペタヘルツエレクトロニクスを生み出す新たな機会を開くものである。
2017年10月12日号の Nature ハイライト
工学:高温のスズに耐えるポンプ
天文学:ハウメアを取り巻く環
フォトニクス:グラフェンにおける光電流の生成
代謝:脳幹に局在して体重減少を調節する受容体
心血管疾患:Salvadorの欠失は心不全を回復させる
生化学:らせん化によるTORC1の制御
がん:がんの薬剤依存性を逆手に取る
分子生物学:HSUR2はメッセンジャーRNAを撃って細胞の自殺を防止する
生物工学:RNAをノックダウンする、より効果的なCRISPR法