Nature ハイライト
生化学:らせん化によるTORC1の制御
Nature 550, 7675
TORC1(target of rapamycin complex 1)は、細胞の成長や代謝を調節し、Ragファミリーの低分子GTPアーゼを介して栄養素により活性化される。今回R Loewithたちは、出芽酵母でのグルコースの欠乏は、Ragに依存したTORC1の再分布を引き起こし、超解像光学顕微鏡で観察可能な、液胞に結合した1個の円筒形構造を形成することを示している。彼らはクライオ(極低温)電子顕微鏡を用いた画像化により、TORC1がオリゴマー化して、規則的に粒子が並んだ大型のらせん構造を形成することを明らかにし、これをTOROIDと名付けた。TORC1の不活性化には、このオリゴマー化が必要らしい。これらの結果は、このキナーゼが、オリゴマー構造の可逆的な形成と解離によって調節され得ることを示唆している。
2017年10月12日号の Nature ハイライト
工学:高温のスズに耐えるポンプ
天文学:ハウメアを取り巻く環
フォトニクス:グラフェンにおける光電流の生成
代謝:脳幹に局在して体重減少を調節する受容体
心血管疾患:Salvadorの欠失は心不全を回復させる
生化学:らせん化によるTORC1の制御
がん:がんの薬剤依存性を逆手に取る
分子生物学:HSUR2はメッセンジャーRNAを撃って細胞の自殺を防止する
生物工学:RNAをノックダウンする、より効果的なCRISPR法