Nature ハイライト
分子生物学:HSUR2はメッセンジャーRNAを撃って細胞の自殺を防止する
Nature 550, 7675
ヘルペスウイルスのHerpesvirus saimiriは7種類の核内低分子RNAを発現している。その1つであるHSUR2は一部のマイクロRNAに結合するが、それらの存在量や活性には影響しない。そのため、HSUR2の機能は分かっていなかった。今回D Cazallaたちは、HSUR2がウイルスによって形質転換したT細胞で特定のメッセンジャーRNA(mRNA)と結合し、結合相手の中には網膜芽細胞腫(Rb)タンパク質やp53シグナル伝達とアポトーシスに関与する因子群をコードするものが含まれることを明らかにしている。また、HSUR2はマイクロRNAのmiR-142-3pおよびmiR-16との結合と動員を必要とする機序を介して、これらのmRNAの発現を抑制することも分かった。こうした結果から、HSUR2はマイクロRNAのアダプターであって、mRNAを標的とするためにArgonauteタンパク質の動員を行っていると考えられる。
2017年10月12日号の Nature ハイライト
工学:高温のスズに耐えるポンプ
天文学:ハウメアを取り巻く環
フォトニクス:グラフェンにおける光電流の生成
代謝:脳幹に局在して体重減少を調節する受容体
心血管疾患:Salvadorの欠失は心不全を回復させる
生化学:らせん化によるTORC1の制御
がん:がんの薬剤依存性を逆手に取る
分子生物学:HSUR2はメッセンジャーRNAを撃って細胞の自殺を防止する
生物工学:RNAをノックダウンする、より効果的なCRISPR法