Nature ハイライト
細胞生物学:BRAF活性化にMEKが果たす非触媒的役割
Nature 554, 7693
Ras–ERKシグナル伝達経路はさまざまな細胞過程を調節しており、その機能異常はがんでよく見られる発がん性ドライバーの1つとなっている。RAFファミリーキナーゼは、細胞膜で活性化されたRasからのシグナルを下流のキナーゼであるMEKやERKへ伝達しており、薬剤開発の標的になっている。今回M Therrienたちは、結晶学と生化学の手法を用いてBRAF活性化の機構の詳細を調べた。その結果、BRAFの基質であるMEKが、BRAFと偽キナーゼKSR1の間の二量体化を促進することが明らかになり、これはKSR1とMEKとの直接的相互作用に依存していて、MEKのキナーゼ活性とは無関係であることが分かった。つまりKSR1は、MEKに依存してフィードフォワード機構でBRAFをアロステリックに活性化する因子として機能している。この研究はまた、BRAFとKSR1の間にモジュール型の相互作用面があることを明らかにしていて、これは小分子阻害剤の標的とするのに適しているかもしれない。
2018年2月22日号の Nature ハイライト
神経科学:脳血管細胞の分子地図
構造生物学:イオンチャネルピエゾ1の構造と作動機構
天文学:銀河の周りにある塊状の異方的なガス
天文学:生まれたばかりの超新星
ナノスケール材料:複数のシナプスを模倣するメモトランジスター
メカノケミストリー:圧力下で制御される化学
微生物学:球菌の細胞分裂についての難問
がん:大腸がんにおける免疫療法の回避
がん:免疫療法に対する応答性の予測因子
細胞生物学:BRAF活性化にMEKが果たす非触媒的役割