Nature ハイライト
ウイルス学:コウモリインフルエンザウイルスの種を超えた侵入因子の特定
Nature 567, 7746
最近、A型インフルエンザウイルスがコウモリにおいて発見された。A型インフルエンザウイルスの主な保有宿主は鳥類であると考えられており、鳥インフルエンザウイルスはシアル酸を受容体として用いて鳥類細胞あるいは哺乳類細胞に感染する。しかし、コウモリのA型インフルエンザウイルスは、細胞への感染にシアル酸を受容体として用いない。S Stertzたちは今回、これらのコウモリウイルスが主要組織適合遺伝子複合体クラスII(MHC-II)を用いて細胞に侵入することを示している。これらのコウモリウイルスはMHC-II依存的にマウスの上気道に感染でき、ブタやヒトを含む広範な種のMHC-IIタンパク質が、これらのコウモリウイルスの細胞への侵入を促進できることも分かった。この研究から、コウモリインフルエンザウイルスのヒトへの人獣共通伝播が起こり得る可能性が浮上したが、病原性感染をもたらすかどうかは明らかではない。
2019年3月7日号の Nature ハイライト
医学研究:ヒト膵α・γ細胞の可塑性の1型糖尿病治療法としての可能性
量子物理学:量子スクランブリング
物性物理学:ねじれた二次元半導体ヘテロ構造のモアレ励起子
物性物理学:ファンデルワールスヘテロ構造のモアレ設計
物性物理学:ねじれた二次元半導体ヘテロ構造における混成励起子
分子生物学:雌の胚は複製によるストレスと炎症に影響を受けやすい
ウイルス学:コウモリインフルエンザウイルスの種を超えた侵入因子の特定
神経幹細胞:微小管を介した神経発生の調節
生物工学:発酵してカンナビノイドを作る酵母
膜の生物物理学:Gタンパク質共役型イオンチャネルのシグナル伝達