Nature ハイライト
ウイルス学:HIV-1エンベロープタンパク質のコンホメーション状態
Nature 568, 7752
HIV-1のエンベロープタンパク質は、コンホメーションが動的に変化するタンパク質で、CD4(細胞が持つHIV-1受容体)に結合し、HIV-1の細胞への侵入を仲介している。単一分子蛍光共鳴エネルギー移動(smFRET)を用いた以前の研究では、HIV-1エンベロープタンパク質は3つのコンホメーション状態、すなわち状態1(刺激前のまだ結合していないコンホメーション)、状態2(中間段階)と状態3(受容体に結合している)を経ることが明らかにされている。今回W Mothesたちは、構造研究で刺激前のコンホメーションに当たると推定されていたHIV-1エンベロープタンパク質三量体の可溶型は状態1ではなく、状態2と3に当たる下流のコンホメーションがほとんどであるらしいことを、smFRETを使って明らかにした。従って、状態1のコンホメーションの構造は、まだ決定されていないということになりそうだ。
2019年4月18日号の Nature ハイライト
加齢:皮膚の老化
心血管疾患:駆出率の保たれた心不全を理解する
大気科学:雷の針状構造
量子光学:量子反作用に耳を傾ける
物性物理学:極性スキルミオン
神経科学:齧歯類における、ベクトルを基礎にしたナビゲーション符号化
ウイルス学:HIV-1エンベロープタンパク質のコンホメーション状態
構造生物学:反復性脳損傷で見られるタウ繊維中に含まれる補因子らしきもの