H5N1インフルエンザ特集
科学者たちが哺乳類の間を伝搬可能なH5N1鳥インフルエンザウイルスを作製できるようになった。これにより、偶発的であれ、生物テロ攻撃の一部であれ、もしそのようなウイルスが実験室から外に出た場合、ヒトでのパンデミックを引き起こすかもしれないという懸念が大きくなっている。研究はどの程度公開されるべきか、そしてこのような研究には十分な監視体制があるかどうかについての議論が激化しており、ここでは、今回の議論に関するすべてのNature の報道をまとめた。
Credit: MedicalRF.com/Getty Images
日本語のコンテンツ
Editorial
リスクの高い研究に関する論文の掲載
バイオセーフティーに関する国際基準に不備があり、バイオセキュリティー上の懸念から研究者のモチベーションがそがれている。現在のインフルエンザ研究には、こうした重大なリスクがある。
Nature 485, 5 (号)
News & Views
哺乳類間で伝播しうる鳥インフルエンザウイルス
鳥インフルエンザH5N1ウイルス由来の赤血球凝集素(HA)タンパク質を基にした遺伝子改変インフルエンザウイルスは、わずか4つの変異によりフェレット間で伝播しうることが明らかになった。このことは、ヒトでのパンデミックが鳥から生じる可能性を強調している。
Nature (オンライン掲載)
Comment
なぜ、NSABBは論文の一部削除を勧告したのか
H5N1インフルエンザウイルスを哺乳類の間で感染できるよう適応させた研究に関する2本の論文に対し、米国のバイオセキュリティーに関する国家科学諮問委員会(NSABB)が、手順などいくつかの詳細な情報を差し控えて公表すべきだとする勧告を出した。
Nature 482, 156-157 (号)
鳥インフルエンザウイルスの改変は懸念の火種となる
米国のバイオセキュリティー国家科学諮問委員会(NSABB)のメンバーたちが、H5N1インフルエンザの実験研究に関する情報交換について同委員会が出した勧告を解説する。
Nature (オンライン掲載)
インフルエンザ伝播の研究は急務である
インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)を防ごうとするなら、哺乳類で伝播する鳥インフルエンザウイルスの研究を継続することが必要だと、河岡義裕が論じている。
Nature (オンライン掲載)
英語のコンテンツ
Editorial
Facing up to flu
The potential for mutant-flu research to improve public health any time soon has been exaggerated. Timely production of sufficient vaccine remains the biggest challenge.
Nature (Published online )
Video
Should mutant flu data be censored?
Researchers and policy-makers debate the case for redacting avian flu papers.
Nature (From the blog )
Comment
Q&A: Reasons for proposed redaction of flu paper
US National Science Advisory Board for Biosecurity explains recommendation to publish H5N1 work in a form that withholds essential data.
Nature (Published online )