Nature ハイライト
ナノスケール材料:グラフェンの(不)透過性の限界
Nature 579, 7798
単層グラフェンは欠陥がなければ、原子1個分の厚さしかないにもかかわらず気体を透過させないという性質は、グラフェンの数多くの驚くべき特性の1つである。今回A Geimたちは、より感度の高い実験装置でこの不透過性を測定し、グラフェンにはヘリウムに対して厚さ1 kmの石英ガラスと同等の不透過性があり、1時間当たりわずか数個のヘリウム原子しか通さないことを示している。しかし、調べた気体の大半ではヘリウムと同等の不透過性を示すのに対し、水素はヘリウムよりもはるかに速く透過できた。これは、分子状水素がグラフェンシートのリップルで解離した後、吸着した原子がシートの裏側に「反転する」という2段階過程に起因する。分子状水素のサイズを考慮すると、この低エネルギー経路は意外である。
2020年3月12日号の Nature ハイライト
電子デバイス:近藤遮蔽雲の観測
コンピューター技術:磁壁を使った論理回路
ナノスケール材料:グラフェンの(不)透過性の限界
地球化学:ルテニウム同位体によって制約される初期地球への揮発性成分の集積
微生物学:自然免疫の策略によって毒素が中和される
代謝:肝臓糖新生へのグルカゴン作用に関する新たな知見
腫瘍生物学:前転移ニッチを標的としたエピジェネティック療法
タンパク質合成:DNA修復キナーゼのこれまで知られていなかった役割
構造生物学:アレスチン複合体を捕捉する