Nature ハイライト

地球化学:ルテニウム同位体によって制約される初期地球への揮発性成分の集積

Nature 579, 7798

太陽系外縁部から揮発性成分に富む物質が地球に集積した時期は、まだ議論の的になっている。今回M Fischer-Göddeたちは、この問題に取り組むため、グリーンランド南西部で得られた原太古代の超苦鉄質岩に対して高精度で質量に依存しないルテニウム(Ru)同位体組成測定を行った。その結果、こうした岩石は100Ruが相対的に過剰であり、その起源物質が後期重爆撃期の集積前にすでに十分なRuを含んでいたこと、そして37億年前までには、グリーンランド南西部の下にあるマントルと後期に集積した物質はまだ完全に平衡になっていなかったと考えられることが見いだされた。著者たちは、Ru以外の他の高親鉄性元素による制約条件も考慮すると、現在のマントルの組成は、後期重爆撃期の集積物質が100Ruに乏しい特徴を持つ炭素質コンドライドに似た物質を多く含んでいた場合にのみ調和的になると結論付けている。従って、今回のデータによって、後期重爆撃期に対するこれまでの制約条件が緩和され、地球の集積後期に揮発性成分に富む物質が太陽系外縁部から輸送されてきたことが容認される。

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