Nature ハイライト
腫瘍生物学:前転移ニッチを標的としたエピジェネティック療法
Nature 579, 7798
がんの外科的切除後の転移性再発は、未解決の臨床上の問題である。M Brockたちは今回、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)が、原発性腫瘍の除去後に、残っている腫瘍細胞の転移性定着を促進し得ることを示している。マウスモデルにおいて、術後補助(アジュバント)療法としてエピジェネティック阻害剤を低用量投与すると、MDSCの転移ニッチへの移動が阻害され、MDSCのより悪性度の低い表現型への分化が促進されることで、MDSCによる影響が減少して、生存率が上昇した。これらの結果は、エピジェネティック療法が、外科手術後の転移性再発の防止に役立つ可能性を示唆している。
2020年3月12日号の Nature ハイライト
電子デバイス:近藤遮蔽雲の観測
コンピューター技術:磁壁を使った論理回路
ナノスケール材料:グラフェンの(不)透過性の限界
地球化学:ルテニウム同位体によって制約される初期地球への揮発性成分の集積
微生物学:自然免疫の策略によって毒素が中和される
代謝:肝臓糖新生へのグルカゴン作用に関する新たな知見
腫瘍生物学:前転移ニッチを標的としたエピジェネティック療法
タンパク質合成:DNA修復キナーゼのこれまで知られていなかった役割
構造生物学:アレスチン複合体を捕捉する