Nature ハイライト
タンパク質合成:DNA修復キナーゼのこれまで知られていなかった役割
Nature 579, 7798
DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)は、非相同末端結合修復の際にDNA鎖の両末端を並べる働きに関わる重要な因子である。これまでの研究で、DNA-PKはRNAにも結合することが分かっていたが、この結合が持つ生理学的な意味は不明だった。今回、DNA-PKとU3核小体低分子RNAとの結合が、リボソームの生合成に必要なことが明らかになった。この結合の結果、DNA-PKcs(DNA-PKの触媒サブユニット)が自身のT2609残基をリン酸化し、マウスではこの自己リン酸化が造血に必要とされる。これらの作用はどちらも、DNA修復におけるDNA-PKのカノニカルな役割とは無関係である。
2020年3月12日号の Nature ハイライト
電子デバイス:近藤遮蔽雲の観測
コンピューター技術:磁壁を使った論理回路
ナノスケール材料:グラフェンの(不)透過性の限界
地球化学:ルテニウム同位体によって制約される初期地球への揮発性成分の集積
微生物学:自然免疫の策略によって毒素が中和される
代謝:肝臓糖新生へのグルカゴン作用に関する新たな知見
腫瘍生物学:前転移ニッチを標的としたエピジェネティック療法
タンパク質合成:DNA修復キナーゼのこれまで知られていなかった役割
構造生物学:アレスチン複合体を捕捉する