Nature ハイライト
Cover Story:太陽深部からの放射線を捉える:ニュートリノ検出器によって得られた太陽の第二の核融合サイクルの証拠
Nature 587, 7835
太陽は、水素が核融合してヘリウムを形成する陽子–陽子連鎖反応と呼ばれる過程によって、そのエネルギーの大半を生成している。しかしエネルギーの一部は、炭素(C)と窒素(N)と酸素(O)が触媒する、CNOサイクルと呼ばれる第二の核融合によって生じると考えられてきた。今回Borexinoコラボレーションは、太陽でCNOサイクルが生じていることを示す直接的な実験証拠を初めて得たことを報告している。著者たちは、イタリアのラクイラ近郊にある国立核物理学研究所のグランサッソ国立研究所で、Borexino検出器(表紙写真)を用い、CNOサイクルの結果として放出されたニュートリノを検出した。今回の結果から、太陽のエネルギーの約1%にCNOサイクルが寄与していることが確認され、太陽の核の元素組成を調べる新たな方法が得られた。
2020年11月26日号の Nature ハイライト
生物工学:ナノダイヤモンドを用いた量子診断プラットフォーム
ナノスケール材料:「暗い」励起子の明るい側面
気候科学:南極氷床の変動を増幅させる北半球の海水準変化
生態学:人工光と騒音は米国の鳥類の繁殖成功に複雑な影響を与える
遺伝学:ネアンデルタール人から受け継いだCOVID-19の遺伝的リスクバリアント
神経科学:脊髄再生におけるミクログリアの役割
遺伝学:単一細胞分解能でのヒト肺の生物学的性質
生化学:1つの遺伝子、複数の受容体
コロナウイルス:SARS-CoV-2の2つ目のプロテアーゼに関する知見
免疫学:cGAS–ヌクレオソーム複合体の高分解能クライオ電子顕微鏡構造