Nature ハイライト
免疫学:SARS-CoV-2スパイク三量体、もしくはRBDと複合体を形成したCOVID-19患者由来中和抗体の構造
Nature 588, 7839
P Bjorkmanたちは今回、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)を標的とするヒト中和抗体の8つの新しい構造を決定し、これらを4つのクラスに分類している。この分類は、RBDが「上向き」のコンホメーションであることが必要かどうか、またACE2結合面が重なり合うかどうかに基づいている。抗体の1つは、RBDを「下向き」のコンホメーションに固定し、そのエピトープには下向きのコンホメーションをとる近接した2つのRBDからの残基が含まれていた。スパイクタンパク質の活性化が膜融合を進める機構は解明されていないため、こうした抗体は他の抗体よりも臨床での使用に適しているかもしれない。RBDを上向きに維持するような抗体は、そうすることでACE2による活性化の影響を模擬する可能性があり、場合によってはさらに深刻な症状を引き起こしかねないからである。
2020年12月24日号の Nature ハイライト
計算科学:モデルに基づく強化学習
物性物理学:グラフェンにおける強相関トポロジカル相
光物理学:トポロジカル・プラズモニック渦
材料科学:二色技術を用いる3Dボリューメトリック印刷
漁業:タイの河川魚類の多様性、密度、生物量を育む草の根保護区
がん:膀胱アセンブロイドから得られた膀胱がんについての手掛かり
コロナウイルス:培養皿におけるヒト遠位肺とSARS-CoV-2感染のモデル化
微生物学:革新的なマルチプレックス技術を用いた微生物相のマッピング
免疫学:SARS-CoV-2スパイク三量体、もしくはRBDと複合体を形成したCOVID-19患者由来中和抗体の構造
分子生物学:ミトコンドリアDNAの転写の阻害剤