Nature ハイライト

免疫学:SARS-CoV-2スパイク三量体、もしくはRBDと複合体を形成したCOVID-19患者由来中和抗体の構造

Nature 588, 7839

P Bjorkmanたちは今回、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)を標的とするヒト中和抗体の8つの新しい構造を決定し、これらを4つのクラスに分類している。この分類は、RBDが「上向き」のコンホメーションであることが必要かどうか、またACE2結合面が重なり合うかどうかに基づいている。抗体の1つは、RBDを「下向き」のコンホメーションに固定し、そのエピトープには下向きのコンホメーションをとる近接した2つのRBDからの残基が含まれていた。スパイクタンパク質の活性化が膜融合を進める機構は解明されていないため、こうした抗体は他の抗体よりも臨床での使用に適しているかもしれない。RBDを上向きに維持するような抗体は、そうすることでACE2による活性化の影響を模擬する可能性があり、場合によってはさらに深刻な症状を引き起こしかねないからである。

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