Nature ハイライト
物性物理学:絶縁体中を移動する準粒子
Nature 589, 7841
絶縁体は、電子が利用できる状態の占有を決めるフェルミ準位に電子が存在しないことを特徴とする。しかし金属では、フェルミ準位の状態が占有されているため、この状態を、可動電子と磁場の相互作用に基づく量子振動測定によって調べることができる。今回S Wuたちは、二次元絶縁体WTe2において量子振動を観測したことを報告している。彼らは、フェルミ準位における高移動度電荷中性フェルミ粒子の形成を示唆することによって、この観測結果を説明している。これは、WTe2中の電子が分数化して、スピンを運ぶ可動準粒子や局在荷電準粒子になることを意味している。これらの準粒子の性質を理解するには、さらなる実験が必要である。
2021年1月14日号の Nature ハイライト
天文学:NGC 253内にあるフレアを生じるマグネター
物性物理学:絶縁体中を移動する準粒子
気候科学:更新世の氷期の海洋循環を大きく変えた南極由来の氷山の融解
遺伝学:自閉症患者におけるde novo縦列反復配列変異
発生生物学:培養皿で卵母細胞を作るための遺伝子キット
コロナウイルス:SARS-CoV-2の薬剤スクリーニングのためのオルガノイド
コロナウイルス:SARS-CoV-2監視のために最適化された集団検査
医学研究:ヒトの慢性腎臓病の分子的全体像
分子生物学:クロマチン構造中のヒストンH1
分子生物学:ヒストンH1の異常とがん
生化学:光によって起こる一瞬の動きを捉える