Nature ハイライト
分子生物学:ヒストンH1の異常とがん
Nature 589, 7841
リンカーヒストンH1タンパク質はヌクレオソームに結合し、クロマチンの凝縮を促進する。B細胞リンパ腫ではヒストンH1遺伝子の変異が高頻度に見られるが、それが発症に果たす役割はほとんど解明されていない。今回A Melnickたちは、H1の変異対立遺伝子が遺伝的なドライバー変異の特徴を持ち、H1は腫瘍抑制因子として働くことを明らかにしている。H1の異常はゲノム構造の再構築を引き起こし、クロマチンが脱凝縮が進んだ状態に変わっていく。これがヒストン修飾の変化につながり、その結果、正常なら初期発生の間は抑制されているはずの幹細胞遺伝子の発現が起こる。
2021年1月14日号の Nature ハイライト
天文学:NGC 253内にあるフレアを生じるマグネター
物性物理学:絶縁体中を移動する準粒子
気候科学:更新世の氷期の海洋循環を大きく変えた南極由来の氷山の融解
遺伝学:自閉症患者におけるde novo縦列反復配列変異
発生生物学:培養皿で卵母細胞を作るための遺伝子キット
コロナウイルス:SARS-CoV-2の薬剤スクリーニングのためのオルガノイド
コロナウイルス:SARS-CoV-2監視のために最適化された集団検査
医学研究:ヒトの慢性腎臓病の分子的全体像
分子生物学:クロマチン構造中のヒストンH1
分子生物学:ヒストンH1の異常とがん
生化学:光によって起こる一瞬の動きを捉える