Nature ハイライト
材料科学:意外な相乗効果
Nature 590, 7847
今回、凍結鋳造過程と塩析過程の著しい相乗効果が確認され、これによって非常に優れた機械的特性を持つヒドロゲル構造が得られることが明らかになった。X Heたちはまず、ポリビニルアルコール(PVA)溶液を一方向に凍結させることで、氷結晶間でのPVA鎖の圧密化と凍結温度勾配に沿った部分的配向を実現した。次に、塩析過程を開始し、水とPVAの間の水素結合をPVA分子間の直接水素結合に置き換えた。凍結鋳造の閉じ込め効果によってこの塩析過程の効率が大幅に高まり、配向したマイクロフィブリルネットワーク内に密な束になったナノフィブリルが生じた。PVAの低配向部分では、フィブリル同士がつながった連続膜が形成された。今回の手法は、さまざまなヒドロゲル化学に広く応用できる。
2021年2月25日号の Nature ハイライト
原子核物理学:散らかった陽子の内部をじっくりと見る
実験物理学:定常状態マイクロバンチングに向けて
材料科学:意外な相乗効果
植物科学:イネの窒素利用効率を高める遺伝子
細胞生物学:栄養外胚葉細胞は、アポトーシス細胞の残屑を分散させ、ファゴサイトーシスで除去する
コロナウイルス:精製したポリクローナル抗体はSARS-CoV-2からアカゲザルを防御できる
コロナウイルス:COVID-19肺炎の細胞機構の解明
膵臓腫瘍:膵臓がんのイニシエーション
DNA修復:DNA二本鎖切断修復の際のループ押し出し機構
ウイルス学:ロタウイルスが細胞に侵入する仕組み