Nature ハイライト
DNA修復:DNA二本鎖切断修復の際のループ押し出し機構
Nature 590, 7847
DNAに二本鎖切断が生じるというピンチの際にまず起こるさまざまな事象の1つに、リン酸化型ヒストンγH2AXの集積がある。今回G Legubeたちは、切断部位でのγH2AXの出現はコヒーシンに依存して起こることを見いだしている。コヒーシンは、DNA鎖を囲む環状のタンパク質で、DNA鎖に沿って移動できる。しかし、切断末端があるとそれが障壁となってコヒーシンの集積が起こり、これが留め具となってDNAのループが形成され、押し出される。これは切断末端にγH2AXが蓄積し、そこから広がっていくのと一致している。この研究により、トポロジカルドメインが、転写調節だけでなく切断部での修復区画の確立にも関わることが示された。
2021年2月25日号の Nature ハイライト
原子核物理学:散らかった陽子の内部をじっくりと見る
実験物理学:定常状態マイクロバンチングに向けて
材料科学:意外な相乗効果
植物科学:イネの窒素利用効率を高める遺伝子
細胞生物学:栄養外胚葉細胞は、アポトーシス細胞の残屑を分散させ、ファゴサイトーシスで除去する
コロナウイルス:精製したポリクローナル抗体はSARS-CoV-2からアカゲザルを防御できる
コロナウイルス:COVID-19肺炎の細胞機構の解明
膵臓腫瘍:膵臓がんのイニシエーション
DNA修復:DNA二本鎖切断修復の際のループ押し出し機構
ウイルス学:ロタウイルスが細胞に侵入する仕組み